ファイザー製薬が進めていたシルデナフィルの研究

バイアグラの開発過程には効果に対する説得力がある


狭心症の治療薬として開発

バイアグラは偶然の発見から誕生したと言われています。アメリカのファイザー製薬会社によって開発された薬ですが、元々は狭心症の薬として開発が進められていました。狭心症は冠動脈が狭くなることによって発生します。冠動脈が狭くなって心臓を動かすための血液が不足する心筋虚血という状態になることで、胸の辺りが痛みを持ったり、圧迫されたように感じたりという症状が現れます。冠動脈は心筋の細胞に酵素を供給する働きがあり、これが完全に詰まると心筋梗塞となります。狭心症の治療には血液をさらさらにする薬を用います。血栓が形成されるのを阻害する薬で、代表的なものがニトログリセリンです。

ファイザー製薬の研究所で起こったこと

イギリスにあるファイザー・サンドウィッチ研究開発という研究機関では、シルデナフィルという合成物質を研究していました。何度も臨床実験を行いましたが、狭心症の治療薬としての効果が現れてきませんでした。ブライアン・クリーという開発者は血管障害に対する研究に取り組んでおり、シルデナフィルの血圧降下作用の発現を期待していました。あまり効果が見られないため、患者に余剰分を返却するよう求めましたが、なかなか被験者たちが応じません。良く聞いてみると、開発していた薬にペニスの勃起を促進し、持続時間を長くする効果があったことが発覚したものです。

生殖器への血流を増大させる

バイアグラは被験者の報告によって開発への糸口が偶然に発見されたものです。被験者と臨床実験医はシルデナフィルがペニスへの血流を増大させ、勃起を維持するということを発見します。このときはまだ、狭心症治療薬の副作用という程度の認識でした。1992年、狭心症の治療薬としての開発のために10日間の安全性を調べる実験が実施されます。臨床医は、ペニスへの血流の増大を「よく見られる」症状であると報告しています。報告書では、50mgのシルデナフィルを8時間おきに投与すると消化不良を引き起こすとともに、背中や足に痛みが出るという発言が見られました。被験者である患者は、それに加えて「ペニスの勃起についての報告がある」と記載しました。この報告がしっかりと研究本部へ伝わり、ファイザー製薬は狭心症の治療薬としてではなく、勃起不全の治療薬へと研究をシフトさせます。1996年には、勃起不全治療に効果があるとして特許申請が認められ、アメリカ食品医薬品局(FDA)からの認可を受けています。