適応症が違う??バイアグラの誕生秘話

バイアグラは開発途中で適応症が変更された薬


バイアグラの成分であるシルデナフィル

バイアグラの有効成分はシルデナフィルという血管拡張作用を促進する物質です。開発はファイザー製薬の研究所で行われていました。当初、シルデナフィルに期待された適応症は狭心症です。シルデナフィルは自然界に存在しない純粋に化学的に合成される成分で、開発には長い年月と膨大な予算がかかっていました。その合成には200億円以上の費用と10年以上の歳月がかかっており、ファイザー社は期待をこめて臨床実験に取り掛かります。ところが、狭心症への効果は予想を下回るものでした。ファイザー社が中止を決定しようとしたところ、被験者から「この薬は夜の調子が良くなる」という回答を得ます。多くの被験者が試験の中止とともに薬を返却すべきところを、なかなか返却に応じようとしませんでした。ファイザー製薬は適応症を狭心症ではなく勃起不全として、被験を繰り返します。結果的に単なる副作用に過ぎなかったEDに対する改善薬として発表されます。

適応症の変更

バイアグラのように適応症が変更される薬はいつくか存在します。有名な事例として抗不安薬のドグマチールが挙げられます。この薬はドーパミンを遮断する作用があり、販売が開始された1970年代は胃腸薬として用いられていましたが、その後うつ病に効果があることが判明しました。ドグマチールは脳の視床下部にある交感神経を抑え、それによって胃腸の血流を良くします。胃粘膜の血流が良くなると、防御因子が増えて消化運動が促進されます。胃粘膜へ好影響はありましたが、それよりも脳の興奮を抑えて神経を安らかにする作用のほうが注目されることになりました。そのため、現在では抗不安薬の代表的存在として用いられています。

副作用が主作用を超える

ファイザー製薬では、シルデナフィルの勃起不全の改善作用は開発段階では副作用であったが主作用を超えたと判断して、ED治療薬として本格的に研究を始めます。バイアグラという名称もそのときに誕生しています。バイアとは精力を意味します。アグラは有名な「ナイアガラの滝」の語尾です。ナイアガラの瀑布のようにすごい精力を生み出すという意味合いが込められています。勃起不全の治療薬として4年間、およそ4000人の被験結果を経て1998年にアメリカのFDAから正式な認可を受けました。